技術屋のご主人がほれ込んで決めた丈夫な基礎と躯体の大家族の家
平成16年9月取材
基礎を見て選んだ百年住宅の技術
緑が色濃く、夏になれば子供たちが歓声をあげそうな虫も捕れ、清らかな川の流れには鯉が泳ぎ、カルガモの親子がたわむれ、サギの仲間も何種類も見かける――すばらしい環境ですねと感心していたら、「引っ越してきたばかりのころは、カッコウの声が響いていました。最近は見かけなくなったけれど」とのお返事が。
ここは富士市郊外、Fさんご夫妻のお住まいです。長く富士駅にほど近い街中に暮らしていましたが、一人娘だったお嬢さんの結婚と出産を機に、二世帯住宅を建て、引っ越してきました。16年前のことです。
「それが私は、本当に嫌だったのよ。便利なアーケード街の暮らしになじんでいましたから。ここは、もともと娘夫婦のために買った土地でしたけど、勤めの関係で不自由なので、一緒に住みたいといわれたのです」(奥様)
ご主人の敏一さんは長く製紙工場向けの大型機械をつくるメーカーで技術部長を務め、仕事柄「家を建てるなら技術的に確かな、しっかりしたものに」と考えていたそうです。いったん、H社の家に決め、契約寸前まで進んだところで、百年住宅のモデルハウスを見たご主人が急きょ予定変更。技術にほれ込んで一からプランを変えたそうです。
「まったく嫌になっちゃう(笑)。本人は会社に行ってしまって、断る役は私ですもの。建築現場を見て回って、百年住宅の基礎がよかったのが変更の理由です。その後、設計面も真剣に、何度も練り直して今の家になりました」(奥様)。
16年たっても、壁は建てたときのままの姿

ご主人が徹底的にこだわっただけあって、16年たった今も、家は新築時と同様のしっかりとした姿です。建坪は1階と2階を合わせ約54坪。お孫さんが増えるにつれ3階を建て増し、今では69坪の堂々とした邸宅になりました。屋上には20枚のソーラーパネルを据え、太陽光発電も行っていて、大家族の光熱費をローコストに抑えています。
「娘だけの子育てと比べ、男の子3人を預かる今は、本当に戦争状態(笑)。でも、子供たちのことを思うと、この場所でよかったし、百年住宅の家でよかったと思っています」(奥様)
「壁を見ると家がよくわかります。家がへたると隙間ができて、壁がはがれてきます。この家は内装を全然いじってないが、きちんとしているでしょう。躯体が変形していない証拠です」(ご主人様)
実際、いろいろな家を見てきて、築7~8年で躯体に歪みが出た例をいくつもご存じのご主人は、今でも散歩をしていて建築現場を見かけるたびに、気になって仕方がないのだそうです。
「細い柱を使って、それが傾いて、ホゾもきちんと入っていなくて、金具で無理矢理止めている。そんな家でもパネルやボードを張ってしまうと躯体は見えなくなるし、新しいうちは気づきません。年月がたって失敗した、ということにならないために、家をつくる前は現場をよく観察することが大事です」
お話をいただいた和室には、みごとな彫刻欄間があり、庭とひと続きの落ち着いた空間を形づくっていました。「こうした職人芸に目を向ける人が減ってきたことも、残念ですね」(ご主人様)

↑和室には和室向きの、洋室には洋室向きの、額や絵画、小物などを選んで居心地よく飾られたF邸の室内。「男の子3人が走り回って大変」と法子さんは笑いますが、ちりひとつなく磨き上げられた各部屋に、家族への細やかな愛情を見る思いがしました。
手をかけて住み続ける価値のある家

最初は技術一辺倒のご主人に振り回された形となった奥様も、今では百年住宅の家の強さを実感し、納得しておられます。
「お友達にも、やっぱり家は強いほうがいいわよ、中身は後から変えられても、家自体の強さと外観は変えられないんだからと勧めています」(奥様)
「この家を建てたころは、今ほど地震のことをいいませんでしたが、東海地震も近いといわれる現在、躯体にかける意味はより大きい」(ご主人様)
加えて、長く住み続けるうちに、家にもいろいろなことが起こります。増築や補修を行いつつ快適に暮らし続けるには、やはり最初の家の構造に対する信頼感が欠かせません。
その点「満足していますよ」と、お二人ともにっこり。遮音性に優れ、子供たちが騒いでも音が響かないことも「合格点」だと太鼓判を押してくださいました。







