在宅避難のメリット・デメリット|戸建て住宅で在宅避難をするためのポイント

在宅避難のメリット・デメリット|戸建て住宅で在宅避難をするためのポイント

最近は、地震や床上浸水などの大きな災害のあと、避難所に行かず自宅で避難生活を送る「在宅避難」に備える方が増えています。

避難所での集団生活に不安を感じる方にとって、在宅避難は住み慣れた家で家族と過ごせるのが大きなメリットです。

ただし、戸建てで在宅避難ができるかどうかは、入居後の備えだけでなく、土地選びと設計の段階で大きく左右されます。

本記事では、在宅避難のメリット・デメリットと、これから家を建てる人が押さえておきたい設計のポイントを、ハウスメーカーの視点で解説します。

このコラムで分かること

  • 在宅避難とは、災害後も避難所へ移らず、自宅で生活を続ける方法のことです。
  • 住み慣れた環境で、プライバシーを守りながら生活を続けられるのが在宅避難のメリットです。
  • 戸建てで在宅避難をするためには、土地・住宅性能・間取り・設備・備蓄の5つの条件を満たす必要があります。

在宅避難とは|避難所との違い

在宅避難中の様子

在宅避難とは、災害発生時に建物の安全が確保できる場合、避難所へ移らず自宅で生活を続ける方法です。

避難所が体育館や公民館での集団生活になるのに対し、在宅避難では普段と同じ家で過ごせる点が大きな違いです。

近年は、安全が確保できる場合に在宅避難を推奨している自治体もあります。

一方で、在宅避難は「建物が倒壊しないこと」が前提であり、家が被害を受ければ避難所へ移る必要があります。

在宅避難のメリット

自宅での在宅避難中

在宅避難は、避難所での集団生活と比べて、心身の負担を抑えやすい点がメリットです。

  • ・プライバシーを守れる:着替えや睡眠、授乳などを人目を気にせず行える
  • ・住み慣れた環境で過ごせる:小さな子どもや高齢者、ペットのいる家庭でも生活リズムを保ちやすい
  • ・感染症や盗難のリスクが低い:大人数が集まる環境を避けられ、留守宅を狙う空き巣も防ぎやすい

ご家族に健康や精神面の配慮が必要な方がいる場合、避難所より在宅避難の方がいつもどおりの生活で負担を軽減しやすくなります。

在宅避難のデメリット

床上浸水で在宅避難できない状況

在宅避難のデメリットは、家とライフラインが無事であることが前提となり、条件がそろわなければ続けられない点です。

  • ・建物が損傷すると住み続けられない:被害の程度を住人が判断するのも難しい
  • ・電気・ガス・水道が止まると生活が成り立たない:復旧までの数日から数週間を自力でしのぐ必要がある
  • ・支援物資や情報が届きにくい:避難所にいる人に比べて、配給や行政からのお知らせを受け取るまでに時間がかかる

ただし、建物の損傷とライフラインの停止には、家を建てる前の段階である程度備えられます。

詳しくは次章で解説します。

戸建てで在宅避難をするために必要な条件

戸建てでの在宅避難の準備

戸建てで在宅避難をするには、土地・住宅性能・間取り・設備・備蓄の5つの条件を、建てる前の計画段階でそろえておく必要があります。

どれか一つが欠けても、災害後の生活は続けにくくなります。

ハザードマップで土地の災害リスクを把握する

在宅避難ができる家づくりは、土地選びの段階でハザードマップを確認し、災害リスクの高いエリアを避けることが基本です。

確認しておきたい主な災害リスクは次のとおりです。

  • ・洪水・内水氾濫(大雨で川や下水があふれる浸水)
  • ・土砂災害(がけ崩れ・土石流・地すべり)
  • ・津波・高潮

国土交通省の「重ねるハザードマップ」を使えば、複数の災害リスクを一つの地図で確認できます。

実家の敷地を活用する場合など、災害リスクのある土地に家を建てるときは、建物の性能や間取りで補う設計が求められます。

災害時も暮らし続けられる住宅性能を確保する

在宅避難を前提にするなら、建物が倒壊しないだけでなく、被災後も大きな補修をせずに住み続けられる水準の性能が必要です。

建築基準法の耐震基準は、大地震で倒壊・崩壊せず人命を守ることを目標としており、地震後の生活の継続までは想定していません。

災害別に、確保しておきたい性能は次のとおりです。

  • ・地震:耐震等級3(建築基準法の1.5倍の地震力に耐える水準)
  • ・台風:耐風等級2、窓のシャッターや防災ガラスによる飛来物対策
  • ・水害:基礎を高くする、盛土で地盤を上げるなどの浸水対策

地震対策だけでなく、土地のリスクに合わせて台風や水害への備えも組み合わせることが大切です。

災害後も暮らし続けられる間取りにする

浸水や土砂災害のリスクがある土地では、建物の一部が被害を受けても在宅避難を続けられる間取りにしておきましょう。

  • ・浸水対策:2階に寝室と家族が集まれる部屋、トイレを設ける
  • ・土砂災害対策:居室を谷側に配置し、山側の1階は窓を減らす

2階のトイレは、断水時に簡易トイレを置く場所としても役立ちます。

平屋は上階に逃げられないため、浸水想定区域を避けて土地を選ぶ重要性が高くなります。

停電・断水しても暮らせる設備と配線にする

在宅避難を数日以上続けるには、電気と水を自宅で確保できる設備を、配線計画とあわせて設計段階で決めておく必要があります。

設備災害時に役立つこと設計段階で決めること
太陽光発電+蓄電池停電中も昼は発電し、夜は蓄えた電気を使える蓄電容量と、停電時に動かす家電の範囲
停電時用の専用回路冷蔵庫・照明・スマホの充電などを維持できる回路を引く部屋(2階の居室がおすすめ)
高い位置のコンセント床上浸水しても電源を使える浸水想定の深さに合わせた設置高さ
感震ブレーカー揺れを感知して電気を止め、通電火災を防ぐ分電盤の種類
貯湯式給湯器(エコキュートなど)タンクの水をトイレ洗浄などの生活用水として使える(飲用不可)転倒しない基礎と固定方法

配線や設備は後からでも追加できますが、新築時に計画しておく方が無駄な出費を抑えやすくなります。

停電時用の回路を2階の居室に引いておけば、浸水時も電気の使える居場所を確保できます。

備蓄品をすぐ取り出せる収納を確保する

在宅避難には家族全員分の食料や水が必要になるため、普段の荷物とは別に、備蓄品専用の収納を間取りに組み込んでおくことが大切です。

食料は最低3日分〜1週間分を備えることが望ましいとされています。

4人家族が1週間分を備える場合の目安は次のとおりです。

品目1人あたりの目安4人家族・1週間分
水1日3L84L(2Lボトル42本)
食料1日3食84食
簡易トイレ1日5回140回分
その他カセットコンロ・ボンベ、照明、電池、ごみ袋など―

水だけでも2Lボトル42本、6本入りの段ボールで7箱分になります。

備蓄品はただ置き場所を確保するだけでなく、いざというときに取り出せなければ意味がありません。

収納計画で押さえたいポイントは次の3つです。

  • ・クローゼットの奥など、取り出しにくい場所に詰め込まない
  • ・浸水リスクがあるなら、2階や高い位置に収納する
  • ・普段の食事で消費して買い足す「ローリングストック」なら、キッチン近くのパントリーが便利

普段使う物の収納とは別に、必要な備蓄品をストックでき、すぐに取り出せるような間取りを考えましょう。

構造選びで在宅避難に備える考え方

在宅避難に備え鉄筋コンクリート造の家

在宅避難に備える構造は、建てる土地の災害リスクに合わせて選ぶことが大切です。

地震対策はどの構造でも耐震等級3で確保できる一方、火災や水害、飛来物への強さには構造ごとに差があります。

木造鉄骨造鉄筋コンクリート造
地震耐震等級3で対応可能耐震等級3で対応可能耐震等級3で対応可能
火災防火・準耐火仕様で対策燃えないが高温で強度が下がる燃えない構造で延焼しにくい
水害・飛来物軽量なため浮き上がりや流失への配慮が必要外壁材や重さによって差が出る重量があり流されにくく、壁で飛来物を受け止める
建築費抑えやすい木造より高め高くなりやすい

日本の戸建て住宅で一般的な木造でも、地震対策は十分に行えます。

一方、津波や洪水、隣家からの延焼など、複数の災害に構造から備えたい場合は、鉄筋コンクリート造も選択肢になります。

木造より初期費用は高い傾向があるものの、地震に伴う火災や津波などの水害に対策し、在宅避難しやすい住まいづくりが可能です。

私たち百年住宅が手がけた、在宅避難を前提とした鉄筋コンクリート造の戸建て住宅の事例をご紹介します。

在宅避難を想定した家の外観

施工事例:『海を眺めながら暮らしたい。』を叶える、屋上に津波シェルターの付いた“津波に強い家”

静岡市のI様は、海を眺められる家を建てるにあたり、塩害と津波への備えから鉄骨造と鉄筋コンクリート造に絞って検討しました。

鉄筋コンクリート造の家の津波シェルター

施工事例:『海を眺めながら暮らしたい。』を叶える、屋上に津波シェルターの付いた“津波に強い家”

決め手は、完成見学会で目にした鉄筋コンクリート造の住宅と屋上の津波シェルターです。

屋上へは室内階段で上がり、船舶用の頑丈な扉を閉めるとシェルターとして使用可能です。

シェルターは避難が間に合わない場合に身を守る設備で、I様は「海のそばに住む以上、備えは必要」と話します。

百年住宅では、災害に強い鉄筋コンクリート造をベースに、在宅避難を前提とした住まいづくりをお手伝いいたします。

構造や防災設備を実際に確かめたい方は、完成見学会やモデルハウスへお越しください。

▼百年住宅の見学会・イベント情報

▼モデルハウス一覧

▶大地震でも無傷の家を「百年住宅」で実現

戸建ての在宅避難でよくある質問

在宅避難用の物資

最後に、在宅避難を前提とした戸建てづくりにおいて、よくある質問をまとめます。

Q.在宅避難していても、避難所で食料や物資を受け取れますか?

A.多くの自治体では、在宅避難をしている人も避難所で食料や物資を受け取ることが可能です

避難所は滞在者だけでなく、周辺で在宅避難をする人への支援拠点という役割もあります。

ただし、配布の時間や場所は自分で確認しに行く必要があり、自治体によっては事前の届け出を求められることもあります。

物資が届くまでには時間がかかるため、まずは自宅の備蓄で数日間しのげるよう準備しておくことが前提です。

Q.鉄筋コンクリート造の家なら津波や洪水のときも避難しなくてよいですか?

A.構造にかかわらず、避難指示や津波警報が出たら、まず高台や指定緊急避難場所へ移動するのが原則です

鉄筋コンクリート造は流されにくい構造ですが、建物が残っても浸水が続く間は外へ出られず、孤立するおそれがあります。

電気や水道も止まるため、救助や支援を受けにくい状況に置かれます。

避難指示や津波警報が出ている状況ではまず安全な場所へ移動し、水が引いて家の安全を確認してから在宅避難に移行しましょう。

まとめ

在宅避難は、家とライフラインが無事であることを前提に、自宅で災害後の生活を続ける方法です。

戸建てで在宅避難を実現するには、土地選びから備蓄の収納まで、家を建てる前に決めておくべきことが多くあります。

在宅避難を想定した家づくりをするなら、災害への対策に力を入れているハウスメーカーに相談するのが理想的です。

私たち百年住宅は、一般社団法人防災住宅研究所と共同で「防災住宅」を開発し、災害後も避難所へ行かずに自宅で暮らし続けられる住まいを目指しています。

地域ごとの災害リスクに合わせた対策に加え、停電時の配線や感震ブレーカー、備蓄スペースの確保などを仕様に組み込んでいます。

在宅避難できる家づくりを検討している方は、ぜひお気軽にご相談ください。

▼百年住宅の防災住宅

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