土砂災害警戒区域の土地は買ってはいけない?イエロー・レッドの違いと家を建てる前の判断基準

気に入った土地が土砂災害警戒区域に入っていて、購入を迷っている方は少なくありません。
ネット上では「土砂災害警戒区域は買ってはいけない」という声も見かけます。
ただ、区域の種類によって規制の内容は異なり、敷地の条件次第で判断も変わるのが実情です。
区域の名前だけで決めず、敷地や周辺環境まで確かめることが、後悔しない土地選びにつながります。
この記事では、土砂災害警戒区域の土地の購入や家づくりについて考える際、必要となる情報をまとめました。
このコラムで分かること
- 災害時の被害リスクや売却・住宅ローンなど、土砂災害警戒区域の土地を購入するデメリットをチェックしましょう。
- 相場より価格が安い傾向があり、高台の土地では眺望や日当たりを楽しめるのが土砂災害警戒区域の土地に家を建てるメリットです。
- 擁壁の有無や造成の履歴、建物の配置や間取りなど、災害リスクを軽減するための対策をご紹介します。
Contents
土砂災害警戒区域のイエローゾーン・レッドゾーンの違い

土砂災害警戒区域の土地は、一律に「買ってはいけない」わけではありません。
例えば、イエローゾーンとレッドゾーンでは法律上の扱いが異なり、同じ区域内でも斜面との位置関係などで条件が変わります。
まずは2つの区域の違いを押さえておきましょう。
土砂災害警戒区域(イエローゾーン)のうち、建物が壊れるほどの危険が想定される範囲は、レッドゾーンに指定されます。
| 項目 | イエローゾーン | レッドゾーン |
| 正式名称 | 土砂災害警戒区域 | 土砂災害特別警戒区域 |
| 区域の意味 | 土砂災害が起きた場合に、住民の生命や身体に危害が生じるおそれがある区域 | 建物が壊れ、住民の生命や身体に著しい危害が生じるおそれがある区域 |
| 家の建築 | 可能 | 可能(構造規制への適合が必要) |
| 構造規制 | なし | 居室のある建物が対象 |
| 開発の許可 | 土砂災害防止法による許可は不要 | 住宅分譲などの特定の開発行為に許可が必要 |
| 重要事項説明 | 対象 | 対象 |
| フラット35Sなどの金利引き下げ | 区域指定のみを理由とした制限はなし | 新築住宅は利用不可 |
レッドゾーンでも家は建てられますが、居室のある建物は土砂の力に耐える構造にしなければなりません。
建築費や住宅ローンへの影響は、後半で詳しく解説します。
土砂災害警戒区域の土地を買うデメリット

土砂災害警戒区域の土地には、災害時の被害に加え、売却や費用の面など複数のデメリットがあります。
購入の可否を正確に判断するために、代表的なデメリットを覚えておきましょう。
災害時の被害リスクが高い
土砂災害警戒区域に家を建てる場合、一般的な土地より災害時に被害を受けるリスクが高くなるのがデメリットです。
想定される災害の種類によって、住宅が受ける被害の出方が異なります。
- ・急傾斜地の崩壊(がけ崩れ):急な斜面が突然崩れ、土砂が建物に直接ぶつかる
- ・土石流:大雨で土砂や石が谷沿いに一気に流れ下る
- ・地すべり:斜面の土のかたまりがゆっくり滑り、建物を傾けたり地盤ごと動かしたりする
表の「区域の意味」にあるとおり、建物だけでなく住む人への影響も想定されている点は押さえておきたいところです。
購入前に、候補地でどの災害が想定されているかと、避難場所までの経路を確認しておきましょう。
将来の売却時に買い手を見つけにくい可能性がある
土砂災害警戒区域の土地は、将来売却する際に買い手が見つかりにくくなる可能性があります。
不動産の売買では土砂災害警戒区域に該当する旨を重要事項として説明する義務があり、購入希望者の判断材料になるためです。
災害リスクを理由に購入を見送られたり、価格交渉で不利になったりする可能性もあります。
ただし、売却価格や売れやすさは立地や周辺の需要にも左右されるため、区域の指定だけで決まるわけではありません。
初期費用やローンの面で不利になる可能性がある
土砂災害警戒区域のうちレッドゾーンの土地では、費用やローンの面でのデメリットもあります。
- ・構造規制への対応:居室のある建物は、建築基準法施行令第80条の3に基づき土砂の衝撃に耐える構造が求められ、設計や施工の費用が増える場合がある
- ・住宅ローンの金利引き下げの対象外:レッドゾーンで新築住宅を建てる・買う場合、フラット35S・維持保全型・子育てプラスの金利引き下げを利用できない
- ・補助金が使えない可能性がある:国や自治体の補助金によっては、レッドゾーンの家が対象外のこともある
レッドゾーンの土地に家を建てる場合、通常の建物より強固な構造が求められ、建築費用が増加するケースが多いです。
また、フラット35の住宅ローン自体を使えなくなるわけではありませんが、金利引き下げプランは対象外となります。
土砂災害警戒区域の土地を選ぶメリット

土砂災害警戒区域の土地には、デメリットだけでなく、選ぶ理由になり得るメリットもあります。
| メリット | 内容 |
| 価格が抑えられる傾向 | 周辺の区域外と比べて価格が低めに設定され、予算内で希望エリアの候補を見つけやすい場合がある |
| 高台ならではの眺望 | 斜面に近い高台では、街並みや山並みを見渡せる住まいを実現しやすい |
土砂災害警戒区域に指定されている土地は、周辺の相場より価格が低めに設定されており、眺望の良い高台などの条件も見つけやすい傾向があります。
予算が厳しいエリアでも、土砂災害警戒区域まで選択肢を広げれば希望の土地に家を建てられる可能性があるのです。
ただし、どちらのメリットも区域内のすべての土地に当てはまるわけではないため、デメリットと比べたうえで判断しましょう。
土砂災害警戒区域でも避けるべきとは限らない|イエロー・レッド別の判断基準

土砂災害警戒区域の指定は、都道府県が地形や土地利用などを調べる「基礎調査」に基づき、土砂災害のおそれがある範囲を示したものであり、区域内だから必ず被害を受けるという意味ではありません。
メリット・デメリット両面をチェックしたうえで、条件がそろえば、家を建てるのも1つの選択肢です。
ただし、土地を買うかどうかは、敷地ごとの条件を確かめてから判断することが大切です。
| 確認項目 | 確認すること |
| 区域の種類と想定される災害 | イエローかレッドか、がけ崩れ・土石流・地すべりのどれが想定されているか |
| 指定の根拠 | 都道府県が公表している基礎調査の結果(公開の範囲や形式は自治体ごとに異なる) |
| 土地と斜面の位置関係 | 斜面の上か下か、どれくらい離れているか |
| 擁壁と排水設備 | ひび割れや傾きの有無、所有者・管理者、改修が必要か |
| 避難経路 | 避難場所までの道が斜面の近くを通らないか、通行止めになるおそれはないか |
| 区域外の土地との比較 | 土地代に追加費用を加えた総額で比べる |
土砂災害警戒区域の範囲は、国土交通省の「重ねるハザードマップ」や都道府県の土砂災害警戒区域マップで調べられます。
〈参考〉ハザードマップポータルサイト
確認した内容をもとに、次の目安で行動を決めましょう。
- ・イエローゾーンで、斜面から距離があり、擁壁がない、または状態を確認できる場合:想定される災害と避難経路を確かめ、外構対策の費用を見積もったうえで区域外の土地と総額で比べる
- ・イエローゾーンで、斜面のすぐそばにある、または擁壁の状態や所有者が分からない場合:購入を決める前に市町村の防災担当で想定される災害を確認し、専門家に擁壁の調査と改修費の見積もりを依頼する
- ・レッドゾーンの場合:まず希望する建物が構造規制に適合するかを建築会社に確認し、建てられると分かってから、追加費用と金利引き下げが使えない分を含めて区域外の土地と比べる
土砂災害警戒区域に家を建てるなら押さえたい対策

土砂災害警戒区域に家を建てる場合は、土地と外構、建物の配置と間取りの両面から備えることが基本です。
有効な対策は想定される災害や敷地の条件によって変わるため、住宅会社と一緒に検討しましょう。
土地と外構で備える
土砂災害警戒区域の土地では、建物より先に敷地まわりの状態を確認しておくことが重要です。
- ・擁壁:ひび割れや水抜き穴の詰まりを点検し、見た目で判断できない場合は専門家に調査を依頼する
- ・排水設備:雨水が敷地にたまらず流れるかを確認する
- ・造成の履歴:盛土か切土か、いつ造成されたかを売主や自治体に確認する
土地選びの段階で専門家に相談し、対策を含めて家づくりにどれくらいの費用がかかるのか把握することが大切です。
建物の配置と間取りで備える
土砂災害警戒区域の家づくりでは、想定される災害の種類と土砂が流れてくる方向をふまえて、配置や間取りを決めることが有効です。
- ・土砂が来るおそれのある側には、窓などの開口部を少なくする
- ・屋外への避難が危険なときに備え、斜面や渓流から離れた側の2階に移動できる部屋を設ける
土砂災害のおそれが高まったときは区域外の避難場所へ早めに向かうのが基本で、2階の部屋は逃げ遅れた場合の備えにあたります。
万が一災害が発生した際のことを想定し、リスクを抑えるための間取りづくりを意識しましょう。
建物の構造で備える
日本の戸建て住宅は木造が主流ですが、土砂災害警戒区域では建物の構造を変えて備えるのも1つの考え方です。
土砂の衝撃に強い構造として、鉄筋コンクリート造が選択肢に挙がります。
鉄筋コンクリート造が土砂災害に強いとされる理由は、主に次の2つです。
- ・壁で衝撃を受け止める:鉄筋を組み込んで一体化したコンクリートの躯体が、ぶつかる土砂の力を建物全体に分散させる
- ・重さで押し流されにくい:建物自体が重く、土砂に押されても動きにくい
私たち百年住宅は、工場でつくった鉄筋コンクリートの壁パネルを現場で組み立てる「WPC工法(壁式プレキャストコンクリート造)」の住宅を手がけています。
1993年の山口県宇部市の豪雨では、裏山から崩れた土砂が1階のひさし付近まで迫り、大きな石が当たってひびが入った箇所はあったものの、WPC工法の住宅は流されずに元の位置に残りました。
さらに、35年の台風保証をご用意し、土砂災害による構造躯体の損傷もカバーしています。※適用には条件があります。
土砂災害警戒区域の土地で家づくりを迷っている方は、ぜひ百年住宅へお問い合わせください。
鉄筋コンクリート造の壁や床を実際に確かめられる構造見学会や、詳しい資料をまとめたカタログもご用意しています。

土砂災害警戒区域の土地選びでよくある質問

最後に、土砂災害警戒区域に指定されている土地での家づくりの際、よくある質問にまとめてお答えします。
Q.土砂災害警戒区域の境界ぎりぎりで、区域外なら大丈夫ですか?
A.境界の外側でも区域内と同じ確認をするのが理想です
土砂災害警戒区域の境界は基礎調査に基づいて引かれたもので、外側なら被害がないという意味ではありません。
地形の変化や新たな調査結果などにより、区域が追加・変更される場合もあります。
候補地が区域の近くにある場合は、前述の判断基準の表を参考に、斜面との位置関係や避難経路を確かめておきましょう。
Q.土地を買った後に土砂災害警戒区域へ指定されたら、補償はありますか?
A.区域に指定されたことだけを理由に、国や自治体から一律に補償を受けられるわけではありません
土砂災害警戒区域の指定は危険を周知して避難体制を整えるための仕組みで、土地の価値の下落を補う制度ではありません。
ただし、レッドゾーンでは、一定の要件を満たす既存住宅を対象に、移転などへの補助や融資を受けられる場合があります。
対象となる住宅や支援の内容は制度や自治体によって異なるため、お住まいの市町村の担当窓口に確認してください。
まとめ|土砂災害警戒区域での家づくりは百年住宅へ
土砂災害警戒区域の土地を買うかどうかは、区域の種類と敷地の条件を確かめたうえで判断することが大切です。
購入前に想定される災害や擁壁の状態、総費用を確認し、家を建てるなら配置や構造の工夫も検討しましょう。
土砂災害警戒区域など、災害リスクが想定される土地での家づくりをご検討の際は、ぜひ百年住宅へご相談ください。
土地選びの段階で災害リスクを確認し、「WPC工法(壁式プレキャストコンクリート造)」による強固な建物や間取りの工夫での対策をご提案いたします。

