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5月7日(水)
地震に関するニュースが多く見られる昨今、住宅の耐震性が求められる中で重要視されるキーワードは「固有周期」です。
建物によって異なる固有周期は、地震の揺れの周期と一致すると「共振」を発生させ建物へのダメージを加速させます。
本記事では、そもそも固有周期とは何かといった話題から、固有周期による地震被害の拡大を防ぐ方法、またその他の地震対策についても解説します。
固有周期とは、建物ごとに異なる「揺れやすい周期」を指します。
周期は繰り返し生じる動きの始まりから終わりまでのワンサイクルのことです。
この固有周期が地震時の建物への被害に影響しますので、詳しく解説します。
地震における周期は、揺れによって建物が右に揺れ、左に揺れ、元の場所に戻った瞬間が1つの周期となります。
このうち周期が短い揺れを「短周期地震動」、長い揺れを「長周期地震動」と呼びます。
長周期地震動は、高層ビルやタワーマンションなどで生じた、ゆっくり大きく揺れる映像が話題となったこともあります。
周期は建物の高さや構造によって変わりますので、建築を予定している建物がどの程度の周期なのか確認することが重要です。
改めて、建物ごとに異なる固有の周期を「固有周期」といいます。
固有周期はこうした要素によって決まり、低層・中層の建物では0.5~1秒前後、高層の建物では1秒以上の周期となります。
地震の揺れの周期と建物の固有周期が一致すると、建物は単に地震による揺れにさらされた場合よりも激しく揺れることとなります。
このように周期の一致により揺れが増幅する現象を共振といいます。
共振が起きると地震のエネルギーが建物へと効率的に伝わりますので、揺れが大幅に増幅されることとなります。
結果として、耐震基準や耐震等級といった基準を満たした建物であっても、構造部分や接合部に大きなダメージを負って破損、倒壊する危険性が高まります。
特に共振が発生する周期の揺れが長時間続く場合、建物への被害は深刻なものとなります。
共振への対策を検討する際に確認したい事柄は、キラーパルスです。
キラーパルスとは、1~2秒ほどの比較的短周期の地震動を指します。
一般的な木造住宅の固有周期は1秒前後ですのでキラーパルスと一致しやすく、共振が起こり被害が拡大するリスクが高まります。
耐震性を高めた木造住宅では固有周期が短くなることもありますが、巨大地震に見舞われた場合、建物が損傷し固有周期が変化(キラーパルスと一致)する可能性もあります。
このため、キラーパルスの被害を避けるためには、一度の地震で倒壊しないことに加えて「構造体の損傷を防ぐこと」を目標とすることが重要です。
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共振が建物に大きな影響を与えることは、過去の地震被害からも分かります。
たとえば2016年に発生して木造住宅を中心に大きな被害を与えた熊本地震では、キラーパルスが被害拡大の理由のひとつとされています。
また、阪神・淡路大震災での被害の拡大も、同様にキラーパルスが関係するとされます。
▶参考:ウェザーニュース 熊本地震から7年 建物に甚大な影響を及ぼすキラーパルスとは
このように過去の事例からも、一般的な地震対策(耐震基準、耐震等級など)に加えて、固有周期に対する配慮が重要であることが分かります。
地震による共振の発生を防ぐためには、地震の揺れと建物の固有周期を一致させないことが重要です。
▶地震の揺れに合わない(共振しない)建物を作る、百年住宅の家
具体的には、多くの地震動の周期とは異なる固有周期になるよう配慮して家を建てることです。
たとえば、工場で生産した品質の高い鉄筋コンクリート製のパネルを組み合わせるWPC工法で建てられた家は、固有周期が0.16秒と短いことから、大きな地震の周期0.6~1.2秒前後の周期に同調せず共振を防ぐことが可能です
地震に強い家づくりの要素は固有周期対策だけではなく、基礎や建材の強度、採用する工法など多岐にわたります。
このうち、地震に強い家にするために特に効果的な対策をご紹介します。
1つ目は、特性に応じた最適な地盤の補強です。
軟弱な地盤の上に基礎を作ると、地震による大きな揺れで地盤沈下、不同沈下を招くことがあります。
SWS試験に加えてボーリング調査を実施して建築予定地の地盤の特徴を正確に把握、その上で表層改良や鋼管杭工法など、最適な工法を利用して地盤を補強することで家を支える地盤を実現可能です。
2つ目は、建物を支えられる強固な基礎を作ることです。
コンクリートで作られる基礎は、建物全体の重さを地盤に均等に伝える役割を持ち、地震時の建物のバランス保持、適切な力の分散効果を発揮します。
一般的に利用される縦方向に1本の基礎(シングル配筋)では、上の図のように地震の揺れを受けたときに損傷やひび割れが生じる可能性があります。
一方で、鉄筋を二重に配置するダブル配筋にすると、基礎や建物本体が損傷する可能性を抑えることが可能です。
3つ目は、建材の強度を高めることです。
木造や鉄骨といった建材と比較して強度の高い鉄筋コンクリート造の住宅であれば、地震の揺れによる変形や破損が起きづらく、また本記事で紹介したように共振現象の発生を防ぐことも可能です。
加えて同じRC住宅の中でも、工場生産で高い品質管理されることで強度を高めた「PCパネル」など、高い性能を持つ建材がありますので、耐震性を高めたい方は利用を検討しましょう。
4つ目は、壁式工法の利用です。
壁式工法は、建物の耐震性を高めるために壁全体で地震の揺れのエネルギーを分散する工法です。
一般的な柱・梁によって構成される構造(軸組構造)とは異なり、壁全体が構造を担うことから揺れに対する強度、剛性を高められます。
よく分散が効くことから局所的な損傷や変形も防ぐことができ、長期的な安定性を保つことが可能です。
5つ目は、工務店やハウスメーカーの地震被害の実績を確認することです。
過去に大きな地震に遭遇した経験のある会社では、倒壊や損傷の程度が記録として残っています。
こうした記録を確認して、倒壊の実績がなく、損傷があっても軽微な会社に依頼することがおすすめです。
たとえば百年住宅の住まいでは、過去に発生したいずれの地震でも被害は確認されず、窓ガラスへのヒビひとつない無傷の実績があります。
▶施工事例:『海を眺めながら暮らしたい。』を叶える、屋上に津波シェルターの付いた“津波に強い家”【静岡市】
地震対策を検討する際に近年重要視される「固有周期」について解説しました。
建物ごとに変わる固有周期は、地震の揺れと周期が重なってしまった場合、共振現象を引き起こして多大な被害につながる恐れがあります。
このため、共振が発生しづらい固有周期の住まいを建てることが地震対策のひとつとして効果的です。
一般的な木造住宅の固有周期が1秒前後の中、WPC住宅の百年住宅の家は0.16秒の固有周期で共振に備えています。
このように、地震について多角的に対策を立てる安心の住まいをご検討中の方は、百年住宅までお気軽にご相談ください。