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レポート&スタッフブログ
9月8日(月)

「基礎の種類にはどんな違いがありますか?」
家づくりを検討する方の中には、こうした疑問を抱く方もいらっしゃいます。
建物を支える基礎は、見えない部分でありながら耐震性や耐久性を左右する重要な構造体です。
布基礎・ベタ基礎・独立基礎・杭基礎など、選ぶ基礎によってコストや性能は大きく変わります。
本記事では、代表的な基礎の種類と特徴、さらに見分け方や工事の流れまでわかりやすく解説しますので、安心できる家づくりの参考にしてください。
▶関連コラム:【地震に強い家】15の特徴・構造を解説│地盤、建物から被災後の対策までご紹介
建物の足元にある「基礎」は、普段は注目することの少ない部分ですが、家の寿命や安全性を大きく左右する重要な要素です。
はじめに、基礎はどのような働きを持っているのか確認します。
基礎とは、建物の荷重を地盤に伝えるための、コンクリート製の構造体を指します。
家そのものを支える要素であり、壁や屋根などの重量をバランスよく分散し、不同沈下や傾きを防ぐ役割を担います。
また、地面からの湿気やシロアリの侵入を防ぐ機能も備えており、建物を長く快適に使うためにも軽視できません。
つまり基礎は「建物を支える」「環境(湿気や害虫など)から守る」という二重の役割を持つ、重要な部分といえます。
建物がどれだけ強固に設計されていても、その力をしっかりと地盤へ伝えられなければ耐震性は発揮できません。
基礎は地震時の揺れを受け止め、建物全体に加わる力を地面へと分散させる役割を担っています。
また、強度の高い基礎は地震の衝撃を受け止め、建物の損傷や倒壊を防ぐ効果を発揮します。
さらに、コンクリートの厚みや鉄筋の組み方といった基礎の仕様は耐久性に直結します。
正しい基礎の選択と施工が、住まいを長く安全に保つ重要な要素といえます。
基礎には複数の種類があり、それぞれ構造や適した地盤、費用に違いがあります。
ここからは代表的な3種類の基礎と、これらの基礎をさらに強固にする「杭基礎」ついて特徴を整理します。

布基礎は、建物の壁や柱の下に連続して鉄筋コンクリートを打設する基礎です。
住宅で広く採用されている工法で、必要な部分だけにコンクリートを用いるためコストを抑えられる点が魅力です。
また、後ほど解説するベタ基礎よりも、一般的には深い位置まで基礎を構築しますので、揺れに対する抵抗力が上がりやすい特徴があります。
一方、建物の重量が部分的に地盤へ伝わるため、地盤が弱い場所では不同沈下のリスクが生じます。
施工性が高く、比較的軽量な建物や安定した地盤での住宅建築に向いている基礎といえるでしょう。

ベタ基礎は、建物の底面全体を鉄筋コンクリートで覆う工法です。
建物の荷重を面で支えるため、安定した地盤上では高い支持性能を発揮します。
また、床下全体をコンクリートで覆うため。湿気やシロアリの侵入を防止しやすいというメリットもあります。
一方で、ベタ基礎は構造上自重が重く、また接地面も広いことから、地盤の深いところまで荷重が伝わりやすい点も特徴的です。
このため布基礎よりも慎重な地盤調査(ボーリング調査や標準貫入試験など)が求められます。
また、布基礎に比べてコンクリートの使用量が多く、施工費用が高くなる傾向があります。
布基礎とベタ基礎はよく比較されることがありますが、どちらも優れている点はありますので、地盤条件に合う工法を選ぶことが重要です。

独立基礎は、建物の主要な柱の下だけに四角いコンクリートを配置する工法です。
部分的に荷重を支えるため、軽量な建物や小規模な構造物に多く使われています。
施工が比較的簡単でコストも低い反面、建物全体をバランスよく支えるには不向きです。
そのため住宅よりも、カーポートや小屋、物置など小規模建築物に適しています。
適用範囲は限られますが、簡易性や経済性を優先する場面で選ばれる基礎です。
杭基礎は、建物本体を支える「布基礎、ベタ基礎、独立基礎」とは異なり、基礎を支える役割を持ちます。
長い杭を地中深くに打ち込み、地盤の堅固な支持層まで建物の荷重を伝える工法です。
軟弱地盤や液状化リスクのある地域でも安定した支持力を確保でき、大型建築やマンションに多く採用されています。
一般住宅でも、軟弱地盤では柱状改良や鋼管杭など杭基礎が選ばれるケースがあります。
ただし、施工には高度な技術とコストが必要で、工期も長くなる傾向があります。
地盤条件によっては不可欠となる、信頼性の高い基礎です。
なお、基礎は種類だけに注目するのではなく、確実な地盤調査を行い、その地盤に適した基礎設計を行うことが重要です。
たとえば、利用されることの多い簡易的なSWS試験に加えて、ボーリング調査や標準貫入試験を利用した、土質や支持層、液状化リスクまで確認できる体制にすることが望まれます。
百年住宅では地盤調査結果に基づき、建物全体で耐震性能を最適化していますので、地盤から耐震性の高い家を求めている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
基礎は外観や床下の構造を確認することで、ある程度種類を見分けることができます。
布基礎やベタ基礎は住宅で多く採用され、独立基礎や杭基礎は用途や地盤条件に応じて選ばれます。
それぞれの特徴を理解しておくと、中古住宅の確認や新築時の施工精度のチェックに役立ちます。
基礎工事は、建物の強度や耐久性を左右する重要な工程です。
どういった流れで施工されるのか確認すれば、設計や施工への安心感につながりますので把握しましょう。
こうした工程を丁寧に施工することで、長期間にわたり、また大きな地震の発生時も安心して暮らせる住まいを建てられます。
基礎工事は普段あまり目にする機会がなく、不安や疑問を感じる方も多いものです。記事の終わりに、代表的な質問に答えていきます。
A:布基礎はコストを抑えやすく、根入れが深いことで地表面の揺れに強い特徴があります。
一方でベタ基礎は建物全体を面で支える構造のため、安定した地盤上では優れた支持力を発揮します。
いずれの基礎も「どちらが優れている」という単純な比較ではなく、建物の規模や地盤の性質に応じて最適な基礎を設計し、建物全体の耐震バランスを取ることが重要です。
安易に「ベタ基礎だから安心」と考えるのではなく、地盤調査の内容と構造計算の根拠を確認しましょう。
A:基礎断熱とは、基礎の立ち上がり部分や床下を断熱材で覆う工法です。
工事の段階から計画され、基礎の施工方法と密接に関わります。
床下の温度環境を安定させ、冬場の寒さや結露を防ぐ効果がありますが、換気や防蟻対策とのバランスが重要です。
なお、百年住宅の家は床下を土で充填、転圧したあとコンクリートを被せて岩盤化します。
床下をなくすことで、床下空間を冷たい風が吹き抜けることもなく、またシロアリやゴキブリといった虫の侵入を防ぐことが可能となります。
A:床下をコンクリートで覆うベタ基礎は湿気やシロアリ被害を防ぎやすい基礎です。
加えて、防湿シートの設置や床下換気、薬剤処理などを組み合わせることで効果が高まります。
なお、布基礎であっても地面が露出した箇所にコンクリートを打設することで、ベタ基礎と同様に、湿気やシロアリを防ぐ効果を期待できます。
A:不同沈下を防ぐには、まず地盤調査で支持力を確認し、必要に応じて地盤改良や杭基礎を採用します。
地耐力が不足する箇所に対して深く基礎を設けるなど、適切な対応によって不同沈下が発生する可能性を抑えることが可能です。
また、基礎を構築する鉄筋やコンクリートといった部材を適切に利用する、施工精度も強固な基礎を作るために重要な要素です。
A:配筋が図面通りに組まれているか、防湿シートに破れがないか、コンクリートの打設が均一かといった点が重要なチェックポイントです。
また、雨天時の打設や養生不足は強度に影響します。現場で確認が難しい場合は写真記録を残してもらい、施工品質を担保することが安心につながります。
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建物の基礎は、布基礎・ベタ基礎・独立基礎・杭基礎といった種類ごとに特徴があり、選択を誤ると耐震性や耐久性に大きな差が生まれます。
適切な基礎を選び、正しく施工することが、安心して長く住める住まいを実現する第一歩です。
「百年住宅」では、過去の大地震でも倒壊や損壊を免れた実績を持つ鉄筋コンクリート住宅を提供しています。
さらに、床下を土で充填、転圧し、その上をコンクリートで岩盤化する独自工法により、シロアリ・湿気・不同沈下といったリスクも根本から解消。
強靭な基礎と構造体が「無傷の実績」を支えています。
地震に強い基礎と構造を備えた家づくりをお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。