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6月16日(月)
「耐震構造とよく聞くけど、実際どんな仕組みなの?」
このような疑問を感じたことはありませんか?
本記事では、耐震構造の定義や基本的な考え方をはじめ、制震構造や免震構造との違いもわかりやすく解説します。
あわせて、木造や鉄骨、鉄筋コンクリートなど建物構造ごとの耐震性能の特徴や、住宅の耐震性を高めるためにできる家づくりの工夫も紹介しますので、これから住宅を建てる方はぜひ参考にしてください。
「耐震構造とは?」と疑問をお持ちの方に向けて、はじめに耐震構造の定義や基本的な考え方をご紹介します。
地震に強い住まいを目指すなら、まずは耐震構造の基本を確認しましょう。
地震の揺れが建物に伝わっても倒壊や崩壊を防げるよう、以下のとおり柱や梁、壁といった構造部分を強化して設計します。
こうした工夫を施し、地震の揺れを受けても倒壊、損傷しづらい家を目指します。
耐震構造は、現在の建築基準法でも最低限求められる基本構造であり、住宅やマンションを問わず多くの建物に採用されています。
耐震構造の基準は、過去に発生した大地震を教訓に進化してきました。
特に大きな転機となったのは、1981年の建築基準法改正です。
この年以前に建てられた建物は「旧耐震基準」に基づき、震度5程度までの地震に耐える設計でした。
一方、1981年6月以降は「新耐震基準」が導入され、震度6強から7の地震でも倒壊しないことが求められるようになりました。
さらに、2000年には耐力壁の配置バランスや接合部の強化が義務化され、より耐震性が高まるよう制度が変わっています。
地震に強い家づくりを考えるうえで、「耐震」「制震」「免震」の違いを理解することは非常に重要です。
どの構造にもメリットとデメリットがあり、立地や建物の用途に合わせた選択が求められます。
各構造の特徴は以下の通りです。
耐震構造
制震構造
免震構造
建物の耐震性は、「木造」「鉄骨造」「鉄筋コンクリート造」など採用されている構造形式によっても変わります。
日本で最も普及している木造住宅は、建物が軽量な分地震による建物にかかる力が小さく抑えられ、倒壊リスクを軽減しやすい点が特徴です。
一方、鉄骨造(S造)は鋼材による高い強度としなやかさを持ち、揺れを効果的に吸収、分散できます。
そして鉄筋コンクリート造(RC造)は、構造そのものの剛性が高く、地震時にも変形しにくい安定性が強みです。
ただし建物が重いため、基礎や地盤の対策も重要になります。
これら3つの構造には、それぞれ異なる特徴があるため、表のとおり目的や敷地条件に応じた選択が求められます。
木造住宅
鉄骨造(S造)
鉄筋コンクリート造(RC造)
記事の終わりに、耐震性を高めるために設計段階で意識すべき5つの家づくりの工夫をご紹介します。
構造選びから地盤対策、間取り設計、建材の選定まで、地震に強い住まいを実現するためのポイントを確認しましょう。
「壁式構造」とは、柱と梁で構成される構造とは異なり、壁そのもので建物を支える構造形式です。
地震の揺れを壁面全体で受け止めるため、力が分散されやすく変形や倒壊のリスクを抑えられます。
また、耐震性以外にも次のようなメリットがあります。
▶関連コラム:壁式構造とは?ラーメン構造との違いや見分け方、メリットまで徹底解説
どれだけ強い構造でも、地盤や基礎が弱ければ建物は地震に耐えられません。
地盤調査を行い、必要に応じて表層改良や柱状改良などの地盤補強を行いましょう。
さらに、建物の重さや地盤の性質に応じて「ベタ基礎」や「布基礎」など最適な基礎工法を選ぶことが重要です。
特に耐震性を高めたい場合は、基礎幅の拡張、二重鉄筋の配置といった対策も効果的です。
耐震性の高さを証明するうえで、設計上の数値や施工実績に加えて、実際に大きな地震を受けた際に「無傷」であったという明確な実績も重要です。
本当に強い構造かどうかは揺れを体験しなければ分かりません。
過去の地震で損傷ゼロだった住宅が多数存在する会社は、その構造と工法が現実の地震で効果を発揮した証拠です。
耐震構造の本質を見極めるには、机上の数値に加えて揺れを耐え抜いた「結果」で判断しましょう。
建物の形状は耐震性に大きく影響します。
耐震性の面で理想的なのは、正方形に近いシンプルな形状です。
凹凸の多い間取りやL字・コの字型のプランは、地震時に揺れが集中しやすく、ねじれや変形のリスクが高くなります。
また、開口部(窓や玄関など)の配置バランスにも注意が必要です。
耐力壁が偏ると「偏心」と呼ばれる不安定な揺れ(ねじれ)が発生するため、上下階の壁や柱の位置も意識して設計することが大切です。
耐震性の高い家を建てるには、使用する建材そのものの強度も見逃せません。
たとえば、工場製作のPCパネルなど、「面」で地震力を受け止められる強度の高い建材を選ぶことで揺れに対する耐性が向上します。
▶関連コラム:地震における『固有周期』とは?RC住宅が地震に強い理由を揺れの特徴から解説
工場生産の高強度なコンクリート壁を利用する手法として、「WPC工法」が挙げられます。
本工法は建物の固有周期を短く保ち、地震の揺れによる共振が発生する事態を防ぐ特性を持っています。
こうした工法を採用する住宅メーカーを選ぶことも、地震による被害を避ける対策です。
WPC工法については、以下の記事で詳しく解説していますので、耐震性の高い住まいをご検討中の方はぜひご覧ください。
地震が多い日本では、建物の構造を正しく理解し、適切な対策を講じることが安心の第一歩です。
なお、家づくりを検討する際は、建物の構造や計算上の強度に加えて過去の地震でどれだけ被害が出なかったかという「実績」も重要な判断材料です。
百年住宅の家は、阪神・淡路大震災や熊本地震などにおいても「無傷」の結果を残しています。
こうした確かな実績を持つ住まいに興味のある方は、百年住宅までお気軽にご相談ください。